
卒業制作展_展示アーカイブ
title:この毎日にタイトルをつけるなら
caption:
毎日の時の流れは一瞬で、写真や動画に残す前に終わってしまう、些細なことの繰り返し。
会うこと。話すこと。触れること。笑えること。
その些細なことが私にとって特別。
でも、私の中にしか残っていない記憶。
どこまで本当なのか、どこから作り話なのか、その境目はわからない。
materiol:缶、ポスターカラー、塩、原稿用紙
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人間には期限がある。
家族と過ごせる期限。
友達と過ごせる期限。
そんなことを考えながら制作しました。
⚫︎短編小説「永遠」※一部のみ
朝日がのぼり、今日も生きていることが永遠と感じる朝。
アラームを止めて、起き上がり、洗面所に向かう。
顔を上げると、鏡に映る自分が涙を流して何か言っていた。
鏡の中にいる自分はどこか暗い雰囲気を纏っていた。
洗顔を終えて、TVをつけ朝食を食べる。
母が作ってくれた食パンにイチゴジャムを塗り、ジャムが一杯乗った端っこを最後に食べる。
食器を片付けていると、アラームの音が聞こえてきた。
今日は予定がないのか、トボトボと歩いてくる弟。
「おはよう」と声をかけるが起きたばかりで返事はなかった。
「今日の予定は?」と聞くとボソボソと何か言っていた。
身支度をすませ、私は仕事にいく。
「おはようございます」
と、気合を入れ仕事が始まる。
まだまだ知らないことばかり。
そこにいるだけで心臓の音が大きくなっていた。
周りと比べたら、そこまで大きな仕事じゃないかもしれない。
だけど、やっと掴んだ機会だから。
「ただいま」
静寂。
電気をつけ、カバンを置いて、上着を脱いで、全身の力が抜ける。
夜も遅く、何かを作るにも体力がわかない。
お湯を沸かして、カップラーメンを食べる。
T Vはない、誰もいない。スマホを触ったり、明日の仕事の確認をする。
ふっとした瞬間。台所の方を見て、溢れてくる。
料理した痕跡はない。昨日もその前もここ最近ずっと、カップ麺を食べた跡がある。
何か栄養取らなきゃと思いグミサプリを口に入れるが、欲しいのはこれじゃない。
が、仕方なく。
切り替えて、お風呂に入り、本を読んで寝る。
翌日、仕事帰りに甘いものを買う。
今日は誕生日。
ケーキ屋さんに並ぶ家族を見て、少し思い出す。
家に帰り、コンビニで買ってきたケーキを食べる。
美味しいものを一緒に分かち合える人がいない。
おいしさを共有できる人がいない。
写真や動画を見て思い出に浸る。
電話しようとするが出ない。
永遠だと思い込んでいた毎朝。
いざなくなると言葉が出ない。
OUFキャッチャーでぬいぐるみとってくれた日。
ディズニーに連れて行ってくれた日。
公園で自転車の練習に付き合ってくれた日。
折り紙でケーキ作ってくれた日。
毎朝お手紙をくれた日。
授業参観見に来てくれた日。
運動会で美味しいお弁当を作ってくれた日。
ダンスの衣装でリボン作ってくれた日。
釣りに連れていってくれた日。
わがままを聞いてくれた日。
強く当たってしまった日。
キャンプに連れて行ってくれた日。
コスプレイベントの衣装を作ってくれた日。
旅行に連れて行ってくれた日。
服を作ってくれた日。
オープンスクールに一緒についてきてくれた日。
初めて舞台みにきてくれた日。
オープンキャンパスについてきてくれた日。
体調悪くて迎えにきてくれた日。
駅まで迎えにきてくれた日。
お好み焼きを作ってくれた日。
大好きなご飯を作ってくれて、届けてくれた日。
自転車のタイヤパンクを直してくれた日。
洗濯のしかたを教えてくれた日。
フレンチトーストの作り方を教えてくれた日。
静かに涙が溢れる。
顔を洗おうと洗面台に行くと、鏡に映る自分は少し笑っていた。
どこか前向きで、強い雰囲気を放つ鏡の中の自分は、鏡の前にいる私を過去のことのように見つめている。
そして鏡の中の自分は何か呟いた。「いつかくる」
鏡の前に立つ私は、ほんのり聞こえたような気がした。
そして鏡の中の自分に釣られて笑った。
朝が来るたびに永遠を感じる。
それはその日良いことがなくても、自分にとってマイナスな予定でも朝はくる。
『お願いだから次の日にならないで(バイトに行くたくないから/大学の行くのしんどいから/毎日が辛いから)』
そう願っても朝は来るから永遠と感じてしまう。
でも、実際は人間の生涯生きられる時間は朝が来るたびにどんどん減っている。
今日会えること、顔を合わせること、声を聞けること、笑い合えること、美味しいご飯をシェアできること、一緒にお出かけできること、ゲームできること、くだらないこと言えること、、、全て、全てが大切な瞬間。
自分が他の人、家族や友達、知り合いも含めて、共有できる時間は大切にしていかないといけない。
毎朝、永遠と感じるのは毎日を大切にしていないような気もする。
展示の様子▼
缶の中に家族や友達との些細な出来事が書かれた紙が入ってます。
作品の感想▼
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